野口トルストイ親子のブログ

野口トルストイ親子によるブログ。母小梅、その次女サナこ。

〜きみはだれなの どこからきたの 第5話~ 小梅の物語

くせになるw
自分語り

たまりません

泣いて笑って許して

人間っていいものですねえ

この作品に出会えなかったら、今でも私は大切なものに気づけていなかったでしょう。


大切な人に贈りたい
(20歳 都内 女性)

 

小梅の物語 第5話


子供が小さい頃から、狂ったように海外旅行にいってました

 


イタリア、フランス、イギリス、スペイン、オーストリア、ロシア、ノルウェー、、、

 


そういえばヴェルサイユ宮殿で、ガイドさんに置いてきぼりにされたことあったな

 


鏡の間、豪華絢爛キラキラルーム、マリーアントワネットの寝室、お土産コーナーではギラギラしながら可愛いノート、ボールペンを眺めた

 


集合時間になっても、待てど暮らせどだれもこない

 


あれ

おかしいな

 


ん?

ヨーロッパいまサマータイム

サマータイムってなんっけか

 


小梅とサナこはいつもやらさす

 


小梅の母・香穂子、小梅、サナこ、サナこの姉・キナこでいったスペイン旅行でも、

コロッセオをぽーっと見学してたら集合時間1分前

 


やばみ

 


あせり

 


ダッシュ

 


向こうからすごい剣幕の香穂子がやってきた

 


香穂子の顔が怖いのなんのって

 


はやくきなさい!みんなまってっから!

あーはずかしい

ちゃんとしなさいっていつもいってるのに!

これだから困る!

 


いつも子供のころからびくびくしてたなぁ

うちの一家は古い体質だから、兄は跡継ぎとして強くたくましく、それはそれは期待をされて育てられた

香穂子は兄がかわいかったのだろう

自分にはくれないお菓子やお小遣いをこっそりあげているようだった

 


小さい田舎町だったから、噂はすぐに広まる

だからこそ香穂子は世間体をあれほど気にするようになったのか

 


怒られるようなことをすると、近所のおうちを一軒一軒まわり、あやまりにいかされた

恐怖すぎ

ホラーでしょ

 


小梅はお人形さんのように育てられた

意思もきかれず、期待もされずの毎日

シールを大事な缶に入れて集めたり、

髪飾りを自分でつくっては次の日学校のみんなに褒めてもらうのが好きだった

カラフルなものがすきで、色えんぴつ、毛糸、布、色々集めた

 

 

 

いつも周りを気にし、自分は何をしたいのか

本気で考えたことなかった

 


すきなものに囲まれて、はたからみたら羨ましかったかもしれない

でも、それは私がもとめているものではなかった

 

 

 

自分のやばみに突きつけられたのは

イタリアにいったときのこと 

 


イタリアに行く前からほしくてこれだけは死んでも手に入れようと固く誓っていた

フェラガモの靴を1時間以上探して、意識朦朧としてるのにこの体力はどこからでてるのか自分でも不明なほど、鉄腕アトムばりに馬力がでまくっていた

ほしくてほしくて小さい子供が2人もいることも忘れて歩き回った

 


子供にブーブー言われないように、途中で見つけたクッキーやさんに寄ったのを覚えている

 


かわいい卵型のカラフルなクッキー缶と、何枚かの大きなクッキー、チョコチップとかバター、プレーン味のを買い与えた

 


(よし、これであと30分はあるきまわれる)

 


私の頭にはフェラガモも靴のことしかなかった

 


よくやく見つけて手に入れたフェラガモ。

何故だろう、嬉しいはずなのに、手に入れた途端に色あせて、

 


あれ、私はなんでこれを手にいれるためにここまできたんだろう

 


達成感というよりも喪失感を味わった

 

 

 

時を同じくして、カナダに旅行にいっていた香穂子

なんと、小梅のためにカナダでフェラガモの靴を買ってきたという

 


自分がイタリアで買ったものとほぼ同じデザインだし

絶句

唖然

 

 

 

やっちまった

これは本気でやっちまった

 


なんていうんだろう

やっちまってるんだけど

言葉がでてこない

 

 

 

これをあげれば小梅は絶対喜ぶと思われてる

 


ちがうちがうよ

 


こんなのが嬉しいんじゃないんだよ

 

 

 

いろんな国にいって、

すきなお稽古をして、

ほしい靴、かばん、浴びるほど買った

やりたいことはやれている

ほしいものを買うだけの余裕は幸運にもある

 


しいていうなら子供を2人産んで、出産前より10キロ太った

もうすこし痩せたい

小梅、本気出したらまだ全然きれいだし

 


痩せたいはずなのになぜかジムは続かない

それは自分的に納得がいってなかった

 


でもそれ以外は、やりたいことやれてたはず

特にこれといって不満はない

まぁ会話が続かない夫も嫌だったが、もう慣れた

 


はずだった

このままの生活が続くと思ってた

それでいいと思ってた

 

 

 

あれ、

でも何が欲しいんだ

自分でもわからん

 


このままのレールをいっても、どうしようもないことだけはわかった

 

 

 

だれか

だれかおしえてくれよ

小梅はなにがほしくて

なにがしたいんだ

 

 

 

もう靴はほしくなくなった

あれほど集めてて気が狂ったように買ってたのに

もういらなくなった

 

 

 

いままではごまかせてても

もうこれ以上自分をごまかすことはできない

 

 

 

35歳

自分を嫌いになっていた

 


つづく

 

 

魔法ドラゴンのパフは

海辺で暮らしてた

ホナ・リーと呼ばれる場所で

秋の霧の中で楽しく遊んでたよ

 

 

 

ドラゴンは永遠に生きられるけど

少年はそうじゃない

ペイントした翼と巨大な輪っかは

他のおもちゃに変わってしまった

 


ある灰色の夜に それは起きた

ジャッキー・ペーパーはもう来なくなったんだ

とっても強いドラゴンのパフだけど

その勇ましい雄たけびをやめてしまった

 

 

 

彼は悲しみでうなだれ

緑のうろこが雨みたいに剥がれ落ちた

パフはもうあの桜の道に行かなくなった

一生の友達がいなくなって

パフは勇気を持てなくなった

だからとっても強いドラゴンのパフは

悲しげに洞窟に潜り込んだんだ