〜目がないサメのなやみ 第1話〜 サナこの物語
「引き込まれます。結末はどう?などより、ただ周囲の空気に自我が溶け込み、文をなぞる心音だけが自分の実存を証明しました」
by夏目漱子
サナこの物語 第1話
その頃わたしは、自分の人生の迷いに完璧に首までつかり、のぼせてる状態でした。
仕事は、がつがつ、まあやってました。
なんだか、忙しく、なんだか、いつもつかれて、
最近、おもしろいんだか
つらいんだか、わからなくなってました。
ぼーっとすると、異世界のような。
まずまず、リアルは充実してっぽかったから、その、困るんです。
自慢ではなく、課題があればがーっとやってました。
好きな旅行でいきぬきし、休みの日はニュー夫とおされなカフェです。
いいじゃん
と、いわれるとそうなんですが、きもちは、どんどん、深海にしずみ目がないサメがゆらゆらしているような、、、
そんな時、姉と母は独身旅行を楽しみにセブにいくと
張り切っていました。
離婚したひとは、つよいなあ
さっぱりして、なんて思っていました。、
その頃読んでいた本は
☆ほんとうの自分がわかる本
☆幸せになる勇気
☆自分から自由になる沈黙入門
などです。
やばいですね笑
今働いてるIT会社では、バリバリ左脳を使う部署にいて、おされで、すてきな感じはあります。
前の会社よりは、擦りきれないな、と思ってたんです。
が、なんか心が折れわらってない
笑い転げてない
こまったなあ
水槽のマンボウのように、
安全かもしれないけれど、時間という命を消費しているわりに、得られない
ポーランド戦最後の10分て感じの試合運びを、してたのだね、わたしは。
はたからは、
アンダー30の、キャリア
などのイベントで話すことをたのまれたりして
うお、すごいじゃん
と、他者評価は、されるかもしれないけれど、じつはじつは、まとめあげてはいたけれど、悲しいくらいに、自分の生きかた
これだよ、なんてみじんもなく、消えてしまいたいきもち、
それをどこにもいうところがありませんでした。
やばみ。
これが。やばみでなくてなにがやばみだろう
わたしは
旅にでる
あと何万冊生き方の本をよんだところで、こたえは。にげていく。
次元を超えるには無条件の愛が必要という
どこに
どこにいけば、うってる?
パリか
北欧か
わたしには
なにもみえていないことだけは、はっきりしていた
28歳の地図
つづく
さようなら 谷川俊太郎
ぼくもういかなきゃなんない
すぐいかなきゃなんない
どこへいくのかわからないけど
さくらなみきのしたをとおって
おおどおりをしんごうでわたって
いつもながめてるやまをめじるしに
ひとりでいかなきゃなんない
どうしてなのかしらないけど
おかあさんごめんなさい
おとうさんにやさしくしてあげて
ぼくすききらいいわずになんでもたべる
ほんもいまよりたくさんよむとおもう
よるになったらほしをみる
ひるはいろんなひととはなしをする
そしてきっといちばんすきなものをみつける
みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる
だからとおくにいてもさびしくないよ
ぼくもういかなきゃなんない