野口トルストイ親子のブログ

野口トルストイ親子によるブログ。母小梅、その次女サナこ。

〜せんろはつづくよどこまでも 第3話〜 小梅の物語

「神よ、お許しあれ!この野口トルストイ親子を!裁くなら、わたしを倒してからいきなさい」
by フランシスコーン サビエル

 

小梅の物語 第3話

 

 

ピアノを弾いていると
たのしいうれしいわくわく
子供の頃の気持ちを思い出すような、
どこか悲しいような、でもやっぱり楽しい。

ラピュタ
カノン
バッハの第九
夜空ノムコウ
ひこうき雲

あのちーへいーせーん
かがーやくーのーはー
あのーどれーかひとーつに
きみがいるーかーらー


ポロロン
ポロロン


何百年も前から音楽はあって、
たくさんの心にとどけてきたとおもうと
いま自分がなやんでることがちっぽけに思えた

星空の下のちっぽけな自分
広い大地のちいちゃい自分

自分がかわいくも思えた

オーストリアの教会で聞いたパイプオルガンの音色すてきだったなあ
心に響く
涙が出た


好きな歌はチャラのswallowtail butterfly あいのうた
何回歌ったか数えきれないわ
歌いすぎて完成度は高杉る。

いつだったか、娘の小学校のママ友に、
マイクを一度持ったら話さないタイプ
と言われたことがある

歌いたいから
目立ちたいから
はもちろんある
だって目立つと気持ちいいじゃん
基本前に出たいタイプだからね、エヘン

でもそれ以上に、おもしろいことがすきなのです
笑って笑わせることがすきなの
暗いのってつまらなくね?
真面目な会議なんて廃止しちまえ
暗い顔で満員電車、やめちまえ
つまらなそうなコンビニ店員さん
ネクタイびしーっのリーマン
張り付いた笑顔の営業マン

もっと人生楽しく生きようや

最近気に入ってる格言は、
そうおもうなら、そういきろ

誰がいってたかって?
小梅です。

昔は筋金入りビッシビシの教育ママでした
鬼。
恐怖政治。
子供の教育に命かけてた

正直殴ったこともある。殴られたこともある。

長女が小4のときから毎日

大手塾の三谷大塚塾まで車で送り迎え
塾から終わる頃には暗くなっている
心もどんどん暗くなる
娘には反抗され、喧嘩喧嘩喧嘩。
止めに入らない夫
息を潜める次女

一致団結
なんていう言葉はなかった
我が辞書にそんな言葉はない

恐怖の中学受験シーズン。
小学校6年生の冬。さむい冬。
これが夏だったら少しは明るい記憶になっただろうか。

第一志望におち、第二志望もおち、ようやくまさかまさかの滑り止めで受かった。

娘も自分もボロボロだった
疲れ果てていた
精魂尽き果てた
ぬけがらでした

第一志望の合格発表で、自分の番号がなく、あれほど気が強かった娘が一言も、なにもいわず、無言で冷たくなったホッカイロをいつまでもいつまでも握りしめ、もうみていられませんでした

志望していなかった滑り止め学校に入学した長女は、みるみる荒れていきました

金髪
外泊
タバコ
化粧
男遊び
お酒


禁止されているからあえて破っているとおもうほど、徹底した不良っぷり

社会の先生にすすめられたミステリーや金田一少年にはハマったようでした


いままでの自分の教育は間違っていたのだろうか
でもわたしなりに必死でがんばった
慣れない運転もやった
子供がおぼえやすいように歌まで作った
家のいたるところに暗記カードを張り紙して、いつでも勉強に触れられるようにした

なぜこうなった

わからない

子育ては答えがない
自分にとってもはじめての経験
相談する相手もいない


ふとおもった
自分のやり方は、母親の厳しさに似てないだろうか
子供のころ、ご飯を全部たべれずのこすと、くらくてたかいところにのせられて
とてもこわかった
すごくいやだった
ひどいとおもった


母親のことがずっと怖かった
そんな母親に似るのはいやだった

次女への教育方針は180度かえ、放任主義
一見放棄とも言えるほどの放任
どこにでもいってよし
なんでもよし
野に放たれた小鳥やひつじのように


つづく

 

止まった手のひらふるえてるの躊躇して
この空の青の青さに心細くなる

信じるものすべてポケットにつめこんでから
夏草揺れる線路を遠くまで歩いた

心に心に傷みがあるの
遠くで蜃気楼揺れて

あなたは雲の影に明日の夢を追いかけてた
私はうわの空で別れを想った